PSI Vol.9, No2 June 1987 Postscript
 編集後記
 今回の論文集は、本会創立満十周年記念の式典を終って最初の号であるから誠に意義深いものであり、感慨も一人深いものがある。特に、ゲラを終っていよいよ印刷にかかろうとしているとき、6月8目より10日まで、ベネチア・サミットが開催され、現地における中曽根総理の発言として、世界的にみた日本の地位が極めて高くなった、と強調された。今回は長崎県の安永続男さんと、千葉県の小寺実さんのお二方より珠玉の原稿を頂いた。両論文とも練りに練って仕上げられたダイヤモンドのような論文である。中でも小寺さんの論文が“Geometrica1 Analysis of the Great Pyramid”と英文で書かれたことは、その内容を世界のサイ科学会に問わんとする意気込みを見る思いがして胸のすく思いがする。もちろん、編集者も責任上、失礼ながら計算の跡を辿ってみたが正確である。これが契機となって、エジプトのピラミッド内部を調査することにでもなれば世紀の大事業となるであろう。
 日本サイ科学会を運営する者の一人として、一方において最高の論文を紹介することも使命の一つであるが、他方において最も通俗的な解説をして大衆を啓蒙することも大切である。それには会員数が1000名内外ということでは余りにも貧弱すぎる感じである。願わくば、皆さん会員の御援助によって、せめて最低3000名程度まで増加できないかと思う。そうすれば、一人当りの御負担も軽減され、もっともっと有意義な活動ができようと期待している。それにしても可哀想なのは、香川倫三「不動塾」塾長を始め15名もの塾生たちに金属バットを打たれて死亡した土田幹紀君(15)である。迷信の社会では狐憑きを追払うのに箒で叩いた話はよくあるが、あれも、これも精神的な原因によるものである以上、物理的な手段で解決するはずがない。サイ科学を熟知していれば、精神的な原因を突きとめる手段もあるし、それを取り除く方法もあることは賢明な学会員の御承知の通りである。できるなら、多くの識者に入会して頂いて、その方法を普及したいものである。
 筆者は50日間、ブラジルおよび北米2回にわたる大旅行を終って帰国したのが、5月9日であったから、本誌を6月中旬に発行するためには、相当無理もあって、印刷所の方にも大部骨折って頂いた次第である。サイ科学の世界は日進月歩で一刻も安閑としていられないからである。例えば、IEEEの注目すべき大論文を本誌で採り上げた所、ゲラの進行中にIEEEの今年4月号プロシーディングスが到着して、プリンストン大学のJahn博士が、同誌1986年6月号に載ったHyman博士の大論文に対し、痛烈な反論が掲載された。そして、興味あることに、反論の参考文献にJournal of the Society for Scientific Explovationのvol.1,N0.1がreferされている。この雑誌はスタンフォード大学で発行されるサイ科学者エリートのみを会員としている。 Jahn博士らの論文が載っているわけである。
 ピラミッドに因んで参考資料を本誌に提供したが、大分市在住の山中さんが二軒のピラミッド住宅(ヘルシー・ハウスの名で)を受注された所、建設の途中ですでに奇蹟が起っているといって、5月27日大分より飛行機で上京され、筆者に御報告をされたという事件があった。一方、友人の一人が通知してくれた所によると、上野毛と千歳船橋の中間にある京セラ研究所前に、底辺約5mのピラミッドが筑波万博より移設されているという。また、筆者が大阪で5月講演を行った節には、底8mm程度のピラミッド390個を木板上に刻みこみ、提供された日生工研の前田稔さん(本会員)があった。このようにピラミッド研究熱は盛んであるから、さらに面白い論文の投稿をお待ちしている(S)。

The museum of kokoro science
PSIJ