PSI Vol.13, No1 July 1990 Postscript
 編集後記
 本会創立以来、10有4年、来年は15周年を迎えるに到った。創立当時の論文をみると、いかにも若々しく、活気があるように思われたものである。海外からも寄稿があり、いかにもバラエティに富み、難解ながら読みごたえがあったように記憶している。
 今は活気がないというわけでもないが、論文提出者の数が少なく、従って、「サイの広場」は発行できても、「論文誌」の方は発行が遅れがちのようである。そこを、本法に寄せられた篤志家のおかげで、ようやく第13巻第1号の発行まで漕ぎつけたわけである。
 ちょうど、最後のゲラ刷りができた頃、筆者は関西支部の講演から帰ったばかりであった。演題は「欧米の最新サイ情報」というものと「サイ現象の分類表について」の二題話であった。終って近くの中華料理店で懇親会があり、さらに、堂島の全日空シェラトンホテルのロビー喫茶室で二次会が行われ、自由討論がはてしもなく続いた。ここで、筆者は会員の活気というものを感じた。曰く、ピラミッドの中に古くなった乾電池をいれたら鮮った。使えなくなった乾電池に念をいれたら電圧が発生した。こんな身近かな問題を真剣にデータをとったら立派な論文になるのではないか。採り上げてくれますか、との質問にもちろんOKと答えた。
 本会の第15周年記念も、盛大に飲み食いして金を使うだけが能ではない。そのように身近かなサイ現象のデータを積み上げて、大記念特集号を発行することこそ、本当の学会にふさわしいものではないだろうか?
 その意昧で、会員の皆さんの一人でも多く来年の3月頃までには論文を寄せて頂いて、6月の総会の頃には、立派な15周年記念特集号を飾るように心して頂きたいものと、今から念願している次第である。
 それから「サイ現象の分類表について」の質疑討論中に感じたことであるが、サイ科学の研究は、在来ありきたりの科学技術研究のように、ただ、深く堀り下げるだけでは本当の真理は分からない。分類表をよく見て、広く広く目を光らせて、自分の研究テーマを絞ることによって優秀な論文ができるということである。その意昧で一般に見過され勝ちな「分類表」というテーマを採択して下さった関西支部長にひそかに敬意を表したものであった(S)。

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