PSI Vol.10, No1 January 1988 Postscript
 編集後記
 前回の論文集(9-2)は1987年6月に発行されたが、きわどい網渡りのようだ、とはこのことであった。2月9日東京を立って、ブラジル各地を約1ヶ月で巡って3月10日に帰国し、つぎに米国に向け出発したのが5月9日であったから、その間に編集を終えなければならなかった。幸い、小寺さん他より大変立派な論文を頂いて、どうにか切り抜けることができた。
 あれから、まとまった研究発表を心待ちにしていたが、案外ない時はないものである。本当は、こういった時に提出して頂いて、編集委員による論文査読も十分時間をかけたらよい雑誌ができると思う。幸いにして、今回は副会長の木村さんが、生物学的元素変換(BTA)に関する米国陸軍の論文を和訳して下さった。小牧さんより頂いたときは大変貴重なものとは思っていたが、自分だけ読んでそのままになっていた。木村さんは、和訳することによって、全会員に役立てようと企図されたことは有難い限りであった。しかし、米国陸軍の許可がないと、全文堂々と発表するのは気が引けると思い、もともと小牧さんの御研究が発端だから、同氏にお願いして、米国側の許可をとってはどうか、と申し上げた。そしたら、これはもともと関会長がフロリダ州のE.S.Maxey医博に連絡し、同博士が米国陸軍に話したゝめ、小牧博士の実験を追試することになったのだから、やはり、筆者(関)が米国に許可申請すべきだ、との結論になり、急濾先方の研究所長宛依頼状を送ったのであった。所が1ケ月もたゝないうちに正式の許可状を米陸軍公文書で受取ったのであった。多分、こちらからだした手紙に「倫理的理由で和訳、印刷および頒布の御許可を願いたい」と書いたのが好感をもたれたようであった。
 今回編集していて、つくづく感じたことは、論文集のように年2回程度の発行誌への投稿は、十分時間をかけて原稿を作って頂き、週刊誌や月刊誌の場合のように、期限ぎりぎりの滑り込み原稿を極力避けて下さった方が後世に残して悔いない紙面ができるということである。木村さんの場合、半年も前に原稿を頂いているし、小生の場合は10ケ月前に書いたものを、南北米と欧州を待ち歩いて叩かれたものを和訳したわけである。査読の期間は約2ケ月以上を見込んで頂きたいものである。

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