PSI Vol.8, No2 April 1985 Foreword pp1.
 巻頭言

日本サイ科学会誌第8巻第2号(通巻20号)
安久津論文の意義
On the Akutsu's Paper

関 英男*
Hideo Seki

 この度、MCM癒科学院の安久津院長より異例の論文を頂いた。これを学会誌の一部として単独で刊行することも異例のことである。それは、日本サイ科学会として歓迎すべき画期的な研究内容を含むものであり、一刻も早く会員にお届けしたいからに他ならない。
 古来、科学上の大発見は、ニユートンの場合も、アインシュタインの場合もそうであったように、まず疑うことに始まった。今回、安久津さんの場合もその例に洩れず、「見えるはずのない星が見えるのは何故か?」との疑問に端を発し、「宇宙は意外に近い」との啓示に励まされたとのことである。筆者も今から17年前、コロラド州アスペンの避暑先に重力波で有名なJ.Weber博士を訪ねた時、公害のない空に、文字通り降るような星を見た際、宇宙は意外に近い、と感じた者である。然るに安久津さんと違って凡人の悲しさ、「見えるはずのない星が見える」のに気がつかなかった。それを安久津さんは専門の天文字書を精読し、研究された結果、ついにその謎を解く鍵として、光速不変の原理を打破する宇宙構想を組立てるに到ったのである。そして、その発表の場として、われらの日本サイ科学会を選ばれたことは、誠に光栄であるとともに意義深いことである。
 元来、何億光年というのは距離を表わす単位である。申すまでもなく、それはいわゆる地球上の光の速度3x108〔m/s〕で走ったと仮定したときに変する何億年という年数で距離を表わしているわけである。この論文では、宇宙全体をそれぞれの規模に応じて、次元別に四つの領域に分けて考える。
 三次元空間: 60億〔km〕ーー太陽系
 四次元空間: 10万光年一一一銀河系
 五次元空間: 550万光年一一一銀河群系
 六次元空間: 100億光年ーーー大宇宙
 昔の概念でいうと、100億光年の距離にある星を今見てるのは、100億年前に光った姿であるから、現在どうなっているかは分からない、と説明したものだが、安久津さんによると、100億光年の波方にある星の光も、せいぜい1〜2年でわれわれの目に見えるはずだという説明である。これは、多数の証拠データを分析して推論されたものであるから、けっして空論ではない。そうすると、六次元空間では、少なくとも見かけ上、地球上の光遠の100億倍位で走らなければならないことになる。もちろん、本当に実験的な証明を今やれ、といわれても、現在の地球人の能力に余るものがあるが、UFOで宇宙旅行する時代がそう遠くないとすれば、必ずしも永遠の謎でもなかろう。憶測をたくましくするならば、あるいは100億光年の波方では、高い宇宙エネルギーが発生し、途中は無限遠で走ってきて、われわれの二次元空間の近くで先に変換して減速するのだ、と考える方法もあるだろうが、この論文に見るように、現在の所は、少なくとも超光速を仮定する方が無難であろう。
 この論文の中で計算に利用されているポグソンの公式というのは、1856年Norman R. Pogsonが星の等級を表現するのに肉眼の感覚を基本にすることを提案したのであった。つまり、一等星は六等星の100倍の光の強さになっているが、目が受ける感覚は強さの変化の対数に比例するから、五等星は六等星の1001/5倍、四等星は六等星の1002/5倍、二等星は六等星の1003/5倍、二等星は六等星の1004/5倍、一等星は六等星の100倍の光の強さとしたのであった。肉眼の感覚が光の強さの対数に比例するという法則はWeber-Fechnerの法則を利用したものであるが、その起源は1834年にライプチッヒ大学のEr-nst Heinrich Weberが、手で待ち上げる重量感が重さの対数に比例することを発見し、後にGustav Theodor Fechnerが視覚や聴覚についても類似の法則を確かめているので、ポグソンは、これらを星の観測にも応用したものであろう。そこで仮りに、地球からDm〔km〕の距離にあるm等星の星が距離Dn〔km〕まで遠ざけたときn等星に見えるとすれば、地球上に達する光の強さが (Dm/Dn)2に減少することを考慮し、つぎの関係が成立する。
 100(m−n)/5 = (Dm/Dn)2
 ∴102(m−n)/5 = (Dm/Dn)2
いま両辺の対数をとれば
 2/5(m−n) = 2log(Dm/Dn)
となる。これを書き直せば
 m −n = 5log(Dm/Dn)
とすることができる。
本論文の例では太陽が
 Dm = 1.496×108kmで
 m = −26.8等星であり、
 Dn = 9.46×1012km(1光年)
の距離では
 5log(Dm/Dn)= −24.0
となるので、n= −2.8等星に見えるわけである。
 その後、天体望遠鏡と写真技術の進歩により肉眼の限界六等星より、24等星まで拡張されている次第である。
 また、この論文でも、直接安久津さんより口頭で伺ったお話でも、直径30〔cm〕の円形のお盆がどこからでてきたかは分からなかったのであるが、地球ー太陽開の距離の46億分の1がちょうど32.6〔m]になり、そこに径30〔cm〕の円をおくと、太陽がすっぼり隠れるというわけで、始めて納得した。また、天文学上で使う別の距離単位として1 parsec(略しててpc)というのが3.26光年に相当するので、前記32.6〔m〕とくらべて興味深い。さらにまた、銀河空間では、恒星の平均光度が3260光年の距離をとっても、わずか1等星級の威光を示しているにすぎないという説明にある、3260光年の数字とも類推関係にある。
 筆者は安久津さんを知ったのは今年になってからで、現在まで3回しかお目にかゝっていない。今回の論文が身近かな星の観察から、高遠な宇宙論に及び、しかも多くの数式で紛飾することなく、分かり易い文章でずばり真理を表現しておられる点が有難かった。サイ科学の躍進的進歩に貢献する所が大きいと信ずる者である。
* 工学博士、元電気通信大学、ハワイ大学教授、
 (社)電子通信学会(IECEJ)名誉員、        統合科学研究所(USL)所長、
 (社)電気学会(IEEJ)終身会員、        日本サイ科学会(PSIJ)名誉会長、
 (社)米沢有為会本部相談役東京支部参与、  視聴覚情報研究会(AVIRG)名誉会員、
 (社)蔵前工業会(東E大)終身会員、      加速教育研究会(ATERG)世話人、
 (財)日本ローマ字教育研究会賛助会員、         日本高次元研究会顧問
 The lnstitute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)Fellow, Life Member
 The Society for Accelerative Learning and Teaching (SALT)    Member
 MIT(Massachusetts lnstitute of Technology)Association of Japan   Member
 The Society for Psychical Research (SPR)            Member
 The Pattem Recognition Society (PRS)              Member
〔普通会員〕
 エレクトロニクス協議会、     (社)電気通信協会、      防衛学会、
 科学文明研究集団、       (社)情報処理学会、     青山会(郵政)、
 工技有楽会(都電研)、      (社)日本ME学会、     春秋会(無線)、
 (社)計測自動制御学会、      (社)日本OR学会、   楽水会(工大電)、
 (社)テレビジョン学会、       計量国語学会、    研六会(鉄研電)、
 (社)日本音響学会、         永楽会(国鉄)

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