PSI Vol.8, No.1 December 1984 Foreword pp2.
 巻頭言

日本サイ科学会誌第8巻第1号(1984通巻第19号)
「サイ科学」の復刊にあたって
On the Reissue of “Psi Science”
関 英男*
Hideo Seki

 すでに「サイ科学」の名において1976年以来発行してきた本会の主刊行物は1982年の第6巻第2号をもって消えてしまったように見えた。その最終号の41ページでも締め括ったように18冊を発行したわけであった。休刊の理由としては、当時の評議員で強く主張された点は、一般会員に理解できないような数式羅列の論文は何の役にも立たないから、この際、サイ科学の啓蒙に役立つような雑誌を計画編集し、併せて会員増加にも貢献すべきであるという意見が大勢を占め「サイ」の発行となった次第である。しかし、本会役員の中にも有識者があって、本会の使命は元来サイ科学の研究にあるのだから、研究発表の場を全廃しては、巷間にある同好会と何ら選ぶ所がないでないか、少くとも年1回は「サイ科学研究論文集」を残すべきである、という御意見もあって、辛うじて、その命脈を保ち得たのであった。筆者も「サイ」の計画編集をやりながら、心ひそかに考えたものである。少くとも第一線のサイ科学パイオニアを以て任ずる本会編集幹事一同が一致結束して相当の時間を割くならば、一般市販のオカルト誌と競争できないことはない。しかし、そこまで学会が堕落しては反って自分の命を縮めるようなものではないか。中には「こんな雑誌を店頭に置いても売れない」と仰っしやる方もある。これは学会雑誌というものを娯楽雑誌と混同していらっしやるのではなかろうか。筆者の所属している約20の学会誌は店頭でほとんど見られないのである。学会と名のつく以上、やはり研究論文の発表や、海外の研究動向の紹介に主力を注ぐべきである。
 そして今回1984年度の評議員会がさる9月30日の午後4時より7時まで開催された際、会員を代表する評議員の声として、以上心配していたことが具体的に発表され、本村会長始め、出席役員および評議員の共鳴を得たわけであった。もちろん、筆者もこのような強い意見を待っていたのである。だからお気づきの会員もあろうかと思うが、「サイ科学研究論文集」の表紙の下に、「サイ科学」創刊号以来の通し番号を17号および18号と大きく記入しておいた次第である。これによって、栄枯盛衰は世の習いに従うとしても、不死鳥のように「サイ科学」は第8巻第1号通巻第19号として甦ることになったわけである。
 そして、さる10月21日の役員会で大方の役員会で、「サイ」と「サイ科学研究論文集」を合流して、旧名称である「サイ科学」を復刊し、会員の研究発表の機会を倍増できたことを喜ぶ者である。もちろん、1000名の本会員の中には、時に論文の内容を不可解な方もお出でになるだろうし、意見を異にする方もないとは言えない。数式の多い論文といっても、これは程度問題である。数式の使用を全面的に制限されると、時として文章が冗長になりすぎることもある。だから、論文を提出される方々は、サイ科学の進歩に貢献するという高い信念を失わない限り、読者に対する思いやりも忘れないで、分かり易い文章を書いて頂きたい、と願わずにはおられない。
 一方「サイの広場」は従来通り存続する方針であるから、多少語幣があるかも知れないが、一部会員の鬱憤の晴らし場でもあるし、無審査による気楽さが滑らかな発表を促すきっかけにもなろうかと思う。
 ここに復刊に際して、一言の感慨を述べて会員諸兄の御参考とした次第である。
*統合科学研究所長(President, Unified Science Laboratory)

The museum of kokoro science
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