PSI Vol.6,No.2 March 1982 Foreword pp1.
 巻頭言

羽沢氏サイ科学に託す新春の夢
羽沢一男*
Kazuo Hazawa

 日本PS学会が発足してから満6年が経過し、今7年目を迎えようとしている。この間社会状勢も大きく変ってきた。特に目につくことの一つは、殆どの書店に精神世界のコーナーが設けられ、多数の関連書籍が並べられるようになったことである。精神世界志向の人々がどんどん増えてきていることの証拠であろう。このような状勢の変化にも拘らず、本会会員数は、数年前から1000名の壁を突破できず、伸び悩みを続けている。評議員会でも、この対策に、真剣な論議が交わされてきた。そして新年を迎え、装いを新たにし、飛躍を試みようとする、力強い胎動がはじまってきた。この記念すべき年頭に、私の新春の夢を発表させて頂く機会を得ましたことは、誠に光栄の至りであります。
 さて、豊かな生活を目標に、走り続けてきた高度工業化社会は、我々に何をもたらしたのだろうか。巨大な量産設備は公害も大量に作り出し、また物質文明の指導原理である競走主義は深刻な人間疎外化をもたらした。このため、ストレスに悩み、いらいらする人々が増加してきている。また奇妙な循環現象も発生して、ストレスの増加に、一層の拍車をかけている。大量消費に馴らされた人々は、休日にも、大量消費型ハードスケジュールの旅や、過密化した遊びに、出かけることが多い。こうした人々は、疲労をいやすことなく、休日の疲れを更に上積みしたままで、職場に復帰してくる。そして職場で欠伸と事故を多発させているのである。職場事故の発生は、個人の業績を低下させ、ストレスを生み出していく。そのストレスをまぎらすため、また過密化した遊びに走るという繰り返しである。これらの人々に、今最も必要とするのは、十分の休息をとることであろう。十分の休息は、ストレスを解消させ、心身の健康と生活の安定を取り戻す、大切な要素である。しかし、このことを人々に気付かせることは、容易なことではない。個人的アピールでは、力が弱く、効果は期待できない。このため是非とも、日本PS学会の登場を願わねばならない。権威ある学界のアピールには、人々も耳を傾けてくれるに違い無いからである。この重大な役割を果すため、本会に“リラックスの科学”研究班を早急に設置して、強力な研究を開始することとしたい。そして、リラックスの心身に及ぼす影響、リラックスの深さによる効果の向上、深いリラックスに導くための基礎条件、等について研究を進めていきたい。基礎条件が明らかになれば、それを踏まえて、更に深い瞑想へと導き、最後に超感覚的世界に至る道をも探求していきたい。超感覚的世界に参入する道は、人類にとって、測り知れぬ福音への道であろう。夢は限りなく大きく脹んでくる。サイ科学の真価は、瞑想や超感覚的領域において、発揮されるものと考えられるが、まづその基礎となる“リラックスの科学”の研究を急ぎ、概ね次の如きものを、明らかにしていきたい。
 (1) 誰でも、何処でも、容易に実行できる、標準的リラックス方法を開発し、一般の人々に提供できること。
 (2) 標準的方法で、毎日規則的に、リラックスした場合、疲労の恢復・心奥の安定・仕事能率や学業成績の向上、等に多大の効果があることの確認。
 (3) 設備の組み合せ等により、特定個人の最適条件を選択し、研究者の指導の下で、深いリラックス状態に導く、特別リラックス方法を開発し、求めに応じ提供できること。
 以上のような研究成果が“サイ情報誌”を通じて、途次一般に公開されるならば、多数の人々にとって、多大の福音となるにちがいない。そして情報誌は忽ち売り切れ、問い合せ電話は事務局に殺到することであろう。想って見ただけでも楽しくなる夢である。勿論そのときの入会申込書から、敷居を高うした学歴欄は、消え去っているに違いない。
*北海道支部長

The museum of kokoro science
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