PSI Vol.2, No1 September 1977 Foreword pp1.
 巻頭言

木村氏“PS学会の行く道"
木村 六郎*

 会誌「サイ科学4号」が発刊され、海外の代表的文献を広く同好の方々に頒布することになったのは、未来の科学の開拓者として当然のことではあるが、関会長の大英断に大きな敬意を捧げたい。おそらく本誌を一読した方々は、まずそんなことがあるだろうかと眉に唾をつける気になり、多くの人は有り得ないこと思うか、単に興味本位に書かれたーー売らんががための雑誌であると思うだろう。そう思われては昨年発足したばかりのPS学会の名誉にかかわる。関会長の篤学者としての人柄をご存じの方ならば、決してそのような浅薄なことをされる人でないことを理解される筈である。しかしご存じない方には誤解される危険を含んでいる。それを敢えて広く世に問わんとすることは、今までの未熟な科学の領域を破って飛躍的な発展をさせるために、特に日本の科学者の覚醒を一日も早く促がしたいために他ならない。
 今までの科学はあまりにも唯物的であって、人間の生命、意識の作用を無視して居リ、また宇宙の中にありながら、その影響を考えていない。そこに今までの科学では説明できない数多くの現象が起こる余地が多分にある。これらの現象を今までの科学知識で解明できないから、有り得ないことであるというのが、99%以上の人からの判断であるが、それでは科学はどうして発達してきたかを辿ってみれば、その判断が本末転倒であることがわかる筈である。
 現代の物質文明をもたらした電気磁気学や原子物理理学に例をとっても、電気現縦や電波、原子核の分裂や融合は人開か解明する以前から、この宇宙に存在しているのである。ただ入間がそれを感知する手段をもたず、それを利用する能力がなかっただけである。科学はそれらの現象を説明する方法を提示したにすぎない。その科学が説明できないからといってその現象を否定することはできない。
 PS学会はこれらの未解の現象を集めて、冷静に新たな科学を発展させようとしている。これは今までの科学が辿って来た道と同じであり、その説明や、理論の確立されるまでの過程といえよう。
 私は電波を専攻し、電波工学の発達と一生を共にしてきた。マルコーニが英仏海峡横断の無線通信に成功したとき、また日露載争で「敵艦見ゆ」の無線信号を使った直後に生まれ育って電波屋になったのである。その当時、電波工学というものは全くなかったのである。それにもかかわらず、電波という現象は実用に供された。本誌に記載されているサイ科学現象はなるほど今までの科学では説明できないが、それが利用できないと誰がいえるだろうか。たまたま本誌を手に入れて、サイ科学現象について知識を得られた機会に、その現象を更に深く実験され、その科学的発展に何らかの貢献をされるよう心から期待する。   (昭52.8.15)
* Dr. Rokuro KIMURA 読売テレビ顧問、本会関西支部長

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