PSI Vol.7, No1 September 1982 サイ科学研究論文集 pp.33-4.
 これから寄稿下さる方々のために

編集長 関 英男

 下の数字にみられるように「サイ科学」も創刊号(1-1)以来16冊を発行したことになり、本号は新らしい形式で創刊号ですが通巻17号となり、今までの形式では(7-1)となるはずでした。
1-1
1-2
1-3
2-1
2-2
3-1
3-2
3-3
4-1
4-2
4-3
5-1
5-2
5-3
6-1
6-2

 本号より新らしい形式の研究報告となります。研究報告は新らしい現象の実験と理論で他に未発表のものに限られ、内容も学会としての権威をおとさないようなものでなければなりませんから、勢い投稿を渋る傾向があります。もちろん、既存の学会のように、あまり厳重な審査をしてはパスする原稿は非常に少ないわけですから、始めのうちは規準をゆるめ、よほどひどいものでなければ一応掲載してきたつもりであります。従来、論文募集の広告をしましたのは、1‐1(p.42)、1‐2(p.44)、2‐1(p.40)、2‐2(p.38)、4‐1(p.40)、4‐2(p.37)、4‐3(p.36)等であり、最近は本誌にあまり広告せず、もっぱら月報等で募集のアナウンスをしてきたのであります。しかし、論文を提出するに当って、原稿をどんな心構えで書いたらよいかについては、まだ公表したことはなかったため、個別にご注意するという非能率な面がありました。つまり、前記広告では、ほとんどページ数の制限とか、提出期限、体裁(英文の内容梗概や図面の説明方法)等に関するものばかりでした。そこで、この機会に、寄稿なさる方々のために、もっと詳細なご注意を書いておく方が便利ではないかと考えました。もちろん、どの学会にも専用の原稿用紙があって、その表紙に執筆上の注意が書いてありますから、常識的なことは先刻ご承知の方も多いし、それでよいとしても、当会には当会独特の性格もありますので、全面的にそれに頼ることはできません。
 本誌には研究論文を集め、主として会員よりの御寄稿に頼っています。また、依頼原稿としての解説、展望および講演等は本論文集より除外し、別に発行する雑誌『サイ』の方にのせることになりました。しかし、それぞれの欄に適当な内容となるよう、各自御留意願いたいのであります。例えば、研究論文として提出された原稿が途中から随筆風になって、論旨から著しく逸脱するようなことは避けるように注意して頂きたいのです。もちろん、読み易くするため、多少随筆的な筆の運び方も、場合によっては許されることもあります。しかし、本論と関係ないことは極力省略し、どうしても書き残しておきたい場合は*印をつけて脚注とします。また、他人の業績を引用する場合は、右肩に(3)といったような小数字をつけ、末尾に文献表をつけます。<無断引用は厳禁です。>
 論文にせよ、論説にせよ、要は読者の立場をよく考えて書いて頂きたいということです。それには、いろいろな要素がありますが、何といっても、中心問題を明確にし、終始一貫脱線しないこと、なるべく簡潔で短かくし、分かり易い表現にすること、自画自賛にわたり、あるいは広告宣伝と受取られるような表現を剥出しにしないこと等が要求されます。難解な言葉や、必要もないのに一般人の知らない術語を説明もしないでどんどん使うのは論文として失格です。数式はあってもよいのですが、出発点と結論だけにとどめ、途中の計算過程を省略するのが普通です。その代り、数式の物理的意味をよく噛み砕いて説明するのが親切な態度です。一つの文章がどこまで続くか分からないようにダラダラ長くなるのは落第です。小まめに切って、論旨を整然と進めてゆくことです。こう申しましても、なかなか一挙にできるものではありません。数多く経験してできるようになるわけです。しかし、少くとも、上記のような心掛けを忘れないようにして頂ければだんだん上達します。わたくしどもは上手下手よりも誠意を買うようにしたいと思っています。
 さて、いよいよこの辺で具体的な執筆方法をのべましょう。
 原稿用紙 必ず枡目の入った紙をお使い下さい。当分学会専用の原稿用紙がありませんから、200字詰でも400字詰でも、どちらでも結構です。研究報告論文は横書きを希望します。印刷に廻すときページ数の算定ならびに割り付けをするために必要です。
 題名 和文と英文と両方で記載し、姓名もローマ字併記して下さい。肩書は*印をつけ脚注にします。論文の価値は題のつけ方できまるといってよい位大切です。よく考えて選んで下さい。
 Synopsisといって英文で書くのが原則です。大文字は枡目一つに1字、小文字は2字ずつ書きます。せいぜい数行から10行内外300語以内ですが、刷上りで半ページ近くにならないようにしたいものです。英文がどうしても苦手という方は、和文でもやむを得ません。内容梗概は論旨の重点を短かい文章で表現し、読者に読む動機づけを与えます。また、多忙な方は内容梗概しか目を通しません。それだけに内容梗概を書いてない論文は価値の低いものになります。
 序説またははしがき 最近は砕けた見出しに“はじめに”というのをよくみます。ここでは自分の論文と関係ある他人の業績を大ざっぱに記述します。よく論文の中に、どこまでが他人の業績で、どこからが自分の独創によるものか区別のつかないものがあります。それではいけません。必ずはっきりと、だれそれのやった仕事はこれこれで、自分はその先を考えたとか、実験したとか書かなければなりません。それだけに、論文には優先権ということが大切ですから、当会では受付年月日を脚注に記入し、一度論文をお返しして雑誌掲載が延引しても著者に不利にならないよう配慮しています。
 本論 長い論文では小見出しを沢山つけて、小見出しの文字の下には赤線を引いておきます。そうすると、印刷の方で太字にしてくれます。これをゴシックといいます。これがあるとないとでは読み易さがまるで違います。論文を斜めに読めるのはこれがあるからです。新聞の活字に注意してみて下さい。実に大小太細の活字を使い分けているのを感じます。
 図面 白い紙に黒いインクで、刷上りの1倍半か2倍位の大きさに清書して下さい。そして、原稿用紙の欄外で左右いずれかに挿入個所を指定して下さい。そうししないと、植字や印刷工が論文を読まなければなりませんから、それだけ製版が遅れます。指定しないでおいて、後から文句をつけたりするのはよくありません。とくに、図面の説明が長くなるような場合、文章のそばに図面がないと読者が迷惑します。しかし、説明が短かい場合は図面を最後にまとめて印刷すると、印刷屋さんの方も助かるし、体裁もよくなります。図面を最後にまとめる場合も、原稿用紙の枡目外に指定して下さい。また、図面説明も英文が原則です。その場合、文字は縮少されるのを見越して大き目に書いて下さい。写真は原則として白黒とし、カラー写真の印刷は困難です。
 結論、総括または謝辞 この三つの何れもないと、尻切れとんぼのようなもので読者は妙な気分になり、文章が抜けたのではないかと疑ったりします。
 文献 引用文献または参考文献があれば、必ずまとめておき、本文中の(1)(2)(3)……等の指標に対応した番号をつけておきます。今の所、書き方のやかましいことを申しませんが、他誌の論文を参考にして下さい。ただし、雑誌によっては省略がはげしくて何のことか分からないこともあります。ある程度、省略しない方が無難です。
 終りに 16冊も「サイ科学」を発行してきますと、ある方面からは相当の権威をみとめられてきました。ここまで持ち耐えてきたおかげで、だんだん優秀論文が増加する傾向にあります。それにつけても、編集の担当として十分気をつけますが投稿される方も、辞典など座右において、正確な日本語で、「サイ科学」の建設に貢献する独創的な論文をお待ちしています。御提出も今後は締切日にこだわらず随時に事務所にお届け下さい。受付年月日を明記し、著者にとって不利とならないよう取計らいます。
 なお、100年以上の歴史をもつ英国SPRの雑誌と同様、論文に表現された意見は著者自身のものとし、当学会で全面的責任を負うものではありません。
 別刷りの御注文 御自分の書かれた論文の部分だけ抜刷りにしたい方は、下記のような実費で頒布します。原稿の表紙に鉛筆書き等であらかじめ必要部数を記入して頂きますと、後で実費御請求を致します。印刷が終ってから申込みますと、割高になることがあります。 (終)
  会誌別刷定価表(円)             昭和57年3月20日仮決定
   部数
ページ数
50 100 200 300 400 500 1,000
1
2
3〜4
5〜8
9〜10
11〜12
13〜16
2,100
3,000
4,300
7,000
10,100
11,500
14,000
2,600
3,600
5,100
8,000
11,600
13,500
16,700
3,500
4,700
6,800
10,500
15,600
17,800
21,900
4,000
5,300
7,300
11,800
17,800
20,400
25,100
4,200
5,600
8,200
12,600
18,800
24,400
26,300
4,800
6,400
8,800
14,200
21,400
24,500
30,100
7,100
8,200
13,000
21,600
32,300
36,900
46,200
Vol.7-No.2, にも掲載

The museum of kokoro science
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