PSI Vol.40,No.1 December 2018 Data 4. pp.106-112.
地震雲の観察と他の観測も含めた将来の地震予報の可能性について
才能発見育成研究所 小林 泰樹*
On the possibility of future earthquake forecast including observation of earthquake cloud and other observations

Abstract
1.はじめに
 私が地震に大きな興味を持つようになったのは、1965年4月20日、「静岡地震」の体験からだ。その日は朝の授業前に担任から職員室にチョークを取りに行くように言われ、職員室のある隣の校舎に行くために、2つの校舎を繋いでいる1階の広い玄関の渡り廊下を歩いているときに、マグニチュード6.1、震度5強の地震が起こり、大きな揺れがきて背の高い靴箱が多数倒れる音がした。私は初めての強い揺れの地震体験だったのでパニックになり、玄関から外に飛び出して、玄関前にある樹木を囲んだ大石を掴んでいたのを、校舎の上階にいる生徒達に見られて恥ずかしい思いをした。

 その日から、私は地震に対してかなり“サイ的アンテナ”が張られるようになり、中高生の頃はちょっと大きめの地震が来る前に何か嫌な予感がしたこともある。そして時間が経ち、1980年に当時奈良市長だった鍵田忠三郎氏が著した「これが地震雲だ −雲はウソをつかない−」に出逢った。

 その序に「昭和23年の福井の大地震前々日に奈良市の上空東西に出た黒ずんだヘビのような細長い異様な雲は、いまだに網膜に焼きついて忘れられない。その異様雲によって当時の野村奈良県知事に地震の発生を予報し、的中して騒がれたことを覚えている。その後、一定の異様な雲が出ると、地震が起こることを知り、その異様雲によって何十度か予報し、それが的中、これらの体験の積み重ねによって、この前兆雲を地震雲と名付けたのである。」と記されている。

 これにより、私も大いに地震雲に興味をもち、ときどき空を見るようになった。鍵田氏の著書によると、「地震雲の代表的な形態は、青空にはっきりした1本あるいは複数の平行な白くて長い筋雲、異様な感じの太めの1本あるいは複数の帯雲、空を割るような断層状になった雲、不気味な赤黒い色の夕焼けや断層状の雲、天を焦がすような燃える朝焼けがある。雲の色彩は白、灰色、黒、不気味な赤色、光る黄色等で、青空をまたぐような長い白帯の時は、地震が時間的に近く(2日以内)、短くて長方形に近いような時は4,5日先と考えてよい。雨の日は地震が起こりにくい。」ということだ。「筋雲、帯雲は震源地を中心としたおおきな同心円の周上、あるいは震源地から放射状の延長線上に出るので、地震の震源地は筋雲、帯雲と垂直などちらかの方向か、筋雲、帯雲のどちらかの延長上となる。」と解説されている。

 これらを参考に空を見ていると、確かに地震雲と推測される雲を目撃し、報道に気をつけていると、数日後に高いマグニチュード、あるいは高い震度の地震が起こることがあったので、少しずつ地震雲判別の経験値が上がってきた。鍵田氏の著書が出版されてから40年近く経つ現在、私が見た雲が地震雲と判断してから数日後に、マグニチュードが大きめの地震が起こる割合は7〜8割までになっていると思う。

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