PSI Vol.38,No.1 December 2016 Data 1m. pp.103-105
E.T.は人間の思考にどのような革新をもたらすのか?
工学博士 申彦*

はじめに
 系外惑星の探索が進む中、つい最近にも地球からたった4.2光年の距離に地球と非常に似通った環境を持つ惑星が確認された。そのような惑星からExtraterrestrial(異星人、以下E.T.と略す)が地球にやってきたとしたら、その彼らは地球よりも進んだテクノロジーを有している可能性が高い。そしてそのE.T.と意思疎通が可能であれば、その情報が地球にもたらされるかもしれない。しかし本稿では、そのような宇宙人情報によってもたらされるテクノロジー的革新については、考慮はせずに、E.T.との接触でわれわれ自身に起こりうる認識の変化と、それをきっかけとする思考の革新について考えてみたい。その場合の基本的な前提は、われわれの環境世界と脳の構造とは共進化を遂げるということである。 人類にとっては、地球上が生きる環境の全てであり、その地球環境に適応するように脳は進化してきた。その一方で、脳の中で想像したものを外部化することで、人類は自分たちの環境を作り変えてもきた。それならば、E.T.という地球外の者とのコンタクトで人類が認識する環境世界が変化を遂げたとしたら、それにともなって脳と思考にも相当の変化がおこるはずである。
 まずは、議論の入り口として宇宙語(ライトランゲージ)の現象について考えてみたい。ライトランゲージをしゃべるという人が昨今、数多く現れているようである。であるならば、われわれは宇宙人と接触するよりも先に宇宙語と接触していることになる。知るはずの無い異国の言葉を発する異言現象は、イアン・スティーヴンソンの研究でも示されてきたように、地球上の至る地域で起きている。その真贋をみきわめるには、スティーブンソンが行ったように、事例報告の記録に細心の注意をはらう必要がある。したがって、ライトランゲージの真贋についてもその情報内容が綿密に吟味されなくてはならないだろう。 しかし先にも述べた通り、本稿の議論では、ライトランゲージについてもその情報内容については、重視はしない立場をとる。ライトランゲージ現象が真であると仮定して、それが人類の思考に情報内容抜きでどのような革新をもたらしうるかについて議論し、その次段階として、人類とE.T.との直接コンタクトではどのようなことが起こるかについて考察を行う。

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