PSI Vol.36,No.1 December 2014 Data 1d. pp.40-43
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「予感・直観についての考察」
日本サイ科学会 小林 信正*
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はじめに
人間の思考は直観思考と論理思考とがある。しかるに近代では論理的判断、推論などの思考が重視され、精神が直知する直観的なひらめきなど科学的研究としては軽視されている。だが発明、発見や芸術的創造性のヒントにつながる直観思考は数多く存在している。
通常の五感による感覚を超えた知覚をPsi能力といい、勘、直観、ひらめき、正夢、予知、虫の知らせ、テレパシー、シンクロニシティ等々と、人間が誰でも本来備わった潜在的な超感覚的知覚(ESP)能力とされ、ある条件下において感受し得るものと考えられている。しかしPsi現象とは、そもそも何処から発信され、如何なる時に直観的ひらめきとして人は感受するのか、そのメカニズムについては諸説あるが定かでない。
古来、我が国ではこの超感覚的知覚の開現法は宗教とつながり、座禅による瞑想、密教の阿字観、神道では精進潔斎して精神統一、修験道では難行苦行の修行、他にヨーガでは座法や呼吸法など、これらの技法はいずれもPsi能力の感受性を高めるための行法で、いわば大自然と精神の融合一体の世界に到達する経験的な技法とされてきた。
日常生活における"予感・直観"では、「気が進まなかった」「嫌な思いが当たった!」「いつもと違うものを感じた」等々・・・将来何かが起こりそうな気がするという心の働きが現実に直面し的中したという体験談は数多く聞かれる。
そこで"予感・直観"を感受するには、顕在意識状態より変性意識状態(トランス)において生起するという考え方を基にして、従来はトランス状態になるのを目で確認する主観的方法に頼っていたが、実験では"光トポグラフィ"〔A〕を駆使して客観的測定による科学的検証を試みた。
本実験では一般者と瞑想者、特異能力者(特異能力者、霊媒)などに、大脳皮質内部の血液活動の比較計測を行った。主に各々の顕在意識状態から催眠誘導によるトランス状態に至る大脳の活動を測定し、前頭前野の意識状態と後頭葉の視覚野における直観像(イメージ)の起想との関連性の観察を試みた。その実験の一端を報告するものである。
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