PSI Vol.35,No.1 December 2013 Data1k.pp.81-88
「自然治癒力を瞬時に引き出す腱引き療法」
 小暮 周吾(腱引き師)*
1975年生まれ。出版社勤務のかたわら、2011年より腱引きを学ぶ。筋整流法公認施術師
●知られざる日本の伝統療法「腱引き」
 腱引き(けんびき)とは、柳生心眼流兵法術を由来とする身体調整法であり、およそ400年の歴史をもつ。
 骨格を矯正する現代のカイロプラクティックや経絡を刺激する鍼灸、また揉むことを主眼とするマッサージなど、一般的によく知られた療法とは異なる手技である。筋(すじ)や腱(けん)を「引く」ことによって、筋肉のねじれやゆがみを整え、関節可動域の向上を図るのを得意とする。特別な道具を必要しないシンプルな手技であり、かつきわめて短時間での不調部位を改善できる。ただ歴史あるわりに、あまり名が知られていない。それは、かつての武士たちがその戦闘技術を限られた門弟だけに伝えたように、腱引きもまた飯の種として秘匿されてきたことも一因である。
 近年さまざまな代替療法・伝統医療が注目されているが、腱引きもまた日本に継承された自然治癒力をよみがえらせる古典の技法である。どのような手技、メカニズムなのか、また歴史的な起源などについては後述するとして、まず腱引きによってどのような不調を改善できるのか。医学的に検証した一例もまじえて紹介していこう。
*Please ask an author's contact to a secretariat.
*著者連絡先は事務局までお問い合わせください。
PSIJ top