PSI Vol.34,No.1 December 2012 Data 1e. pp.75-84.
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2012.10.14 日本サイ科学会講演概要
「SAM前世療法における霊的存在とのコンタクト現象」
「稲垣勝巳メンタルヘルス研究室」 主宰 稲垣 勝巳 *
- はじめに
前世療法は、前世といういまだ実証されていないものを前提としているように見えるため、アカデミズムからは異端視され、様々な批判や問題点が指摘されています。
筆者の催眠技法のベースは心理学系のアカデミックな技法ですが、それらの批判や問題点を踏まえたうえで、前世療法を研究してきました。その探求の過程で、拙著『前世療法の探求』春秋社、2006を上梓しました。その後の過程で前世療法に関わる様々な霊的存在を名乗るものからのメッセージに遭遇し、それら霊が告げた内容を検証するうちに、「SAM 前世療法」と名付けた筆者独自の作業仮説による技法が開発されることになっていきました。
筆者自身はこうした霊的存在からのメッセージを鵜呑みにすることはありませんが、非科学的妄想であると一蹴する態度もまた偏狭であると思っています。メッセージの内容で検証可能なことは努めて検証にかけ、その結果明らかになった事実については、いかに非科学的と言われようとも尊重していくことこそ科学的態度であると考えます。
したがって、SAM 前世療法は、科学的観点からすれば、いまだ実証されていない魂への遡行を試みるきわめて霊的な療法です。しかも、魂と呼ばれる意識体は、ちょうどミラーボールのごとく、中心となる意識体とその表層を構成する前世のものたちの二層構造を持っているという仮説に、基づいています。
ここでいう霊的(スピリチュアル)の意味は、次のようなWHOの概念に則っています。
WHOは「霊的とは、人間として生きることに関連した経験的一側面であり、身体的な現象を超越して得た体験を表す言葉なのである。多くの人々にとって、『生きていること』が持つ霊的な側面には宗教的な因子が含まれているが、『霊的』は『宗教的』と同じ意味ではない。霊的な因子は、身体的、心理的、社会的因子を包含した人間の『生』の全体像を構成する一因として見ることができ、生きている意味や目的についての関心や懸念とかかわっていることが多い。得に人生の終末に近づいた人にとっては、自らを許すこと、他の人々との和解、価値の確認などと関連していることが多い」と定義づけています。
つまり、霊からの通信という「身体的な現象を超越して得た体験」に基づく仮説とその実践が、SAM 前世療法の本質だと言ってよいと思います。
こうして、SAM 前世療法を、独自の作業仮説に基づいて一定数のセッションをおこなった結果、成果の検証が累積してきましたので、ここに中間点のまとめとしてその「仮説を実践」を述べてみたいと思います。SAM の実践に導いた霊的作業仮説は、唯物論科学の立場からすれば妄想と見えるかもしれません。しかし、筆者は、「説明の成功」をもって真理とみなす真理観に立っています。
そして、拙著『前世療法の探求』、『生まれ変わりが科学的に証明された!』の執筆をはじめとするこうした仕事は、魂と生まれ変わりの真偽に関与しようとしないアカデミズムにも属さず、「前世の真偽は棚上げ、治ればOK」と割り切る精神世界系の民間催眠療法士の立場にも立ちがたい筆者に課せられた使命かもしれないと思っています。しかし、筆者は霊能者ではなく、霊を見たりその声を聞いたりする能力を持っているわけではありません。
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